先日の「外国産クワガタの一部を特定外来生物に」で触れた「希少・絶滅危惧種等の保護」の一つ。続いては私が造ろうとした「オオクワガタの雑木林とタガメ・ゲンゴロウのビオトープ」について。
オオクワガタの雑木林とタガメ・ゲンゴロウのビオトープ
私は「飼育」することも好きではあるが、昆虫や鳥類、小動物が継続して生息できる環境を保全することがもっと重要と考えている。
細やかな夢ながら自分で管理できる「オオクワガタのいる雑木林」と「タガメ・ゲンゴロウがいるビオトープ」を作ろうとして、2009年に一歩を踏み出した。
対象の雑木林は福島県との県境の茨城県北部にあり、東西150m、南北200m。杉が点在するがコナラが主体のもの。この画像は急な西斜面からだが東側はもっとなだらかな感じになっていた。この周囲は一部に他の地権者の所有地があったが、概ね同様の雑木林なので実質500-600m四方程になる。
このあたりに生息するクワガタはコクワガタ、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタが主。僅かながらオオクワガタやアカアシクワガタの採集例もある地域だ。キノコの種類・数も豊富で、地元の人からは「キノコの山」として親しまれており、クワガタ育成には申し分ない。
まず、重要なのは「発生木と生息木の確保」である。台場クヌギならぬ「台場コナラ」の育成と、要所要所への伐採材の配置を散策しながら構想(妄想?)していく。
家の目の前の休耕田はゲンゴロウ池に。この地域はゲンゴロウやタガメがまだ生息している。脇から出ている湧水を引き込み、少し掘り込みをして土壌を整えたうえでセリやガマを植え、現地調達した個体を放す予定だった。
湧水にはサワガニやゲンジボタル、オニヤンマのヤゴがいて、休耕田にもイモリ、小型ゲンゴロウ、コオイムシ等が既に生息していた。作業の影響を抑えつつ、保護可能なものは保護していた。
契約後、地権者の親切なのだが「湧水を排水路に流す水路」がU字構になっていた。昔は問題なかったらしいが、近年のゲリラ豪雨では排水処理に限界があるそうで、地盤保護のためにもということだった。
ココは仕方がないので一工夫することに。流れを阻害しない程度、1.5mおき位に岩を重ね置きし、生物や土砂の流出を抑制した。2回位増水があると上の写真のように土砂も堆積するので、生物を確認しながらの掘り出しは必要だ。
この時はオニヤンマのヤゴ4匹、イモリ1匹他を回収した。小物はしょうがないので、水路出口付近に5mm目程度の金網を置き回収することにした。
地権者の協力が得られ具体的な作業を開始して間もなく、あの原発事故によりその地での夢は僅か1年少々で絶たれた。倒木や木の根元、湧水の出どころ付近は「ダッシュ村」程ではないが、決して無視はできない放射線量になってしまった。
クワガタのいる雑木林と水生昆虫の池を家の目の前で、自然と共に楽しめる、貴重な環境だった。今後もそう簡単には手に入らないだろう。
が、条件に恵まれればもう一度取り組んでみたいと思っている。
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