オオムラサキと競合種の幼虫生態の考察。

オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(緑色型)。
オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(緑色型)。

10/31-11/2にかけて北杜・韮崎をまわった時には、「オオムラサキセンター」にも再訪した。気になっているオオムラサキ・ゴマダラチョウ・アカボシゴマダラの生態についてもう一度考えてみたい。

「オオムラサキセンター」再訪

11/1に「オオムラサキセンター」を再訪した。敷地内の観察林は少し色づいている様ではあるが、まだ青々としたクヌギが幅を利かせている。

オオムラサキ生態観察施設である「ビバリウム長坂」(敷地の一部を囲った放蝶施設)内ではエノキも落葉が進んでおり、数は少なくなったものの越冬を控えた幼虫を何頭か見つけることができた。

この時期は歩道上の落葉についた幼虫を踏み潰してしまわないか、ちょっと気を使う。この日は風も強く、枝の固定が精一杯で写真もイマイチなのはご容赦願いたい・・・。

オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(褐色型)。

オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(褐色型)。

 

オオムラサキセンターの観察林

オオムラサキセンターの観察林

オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(緑色型)。

オオムラサキセンターにも再訪。ビバリウム内のオオムラサキの幼虫(緑色型)。

 

濃いエノキの自生密度

北杜市や韮崎市をまわっていると雑木林・河川敷他、場所を問わずエノキの自生密度は濃いと感じる。というか、これが本来の状態で、かつては関東平野周辺は全てこのような感じだったのだろう。

樹高数十cmのものから20m級のものまで多岐にわたり、広葉樹ではNo.1かもしれない。このあたりはオオムラサキの生息数が日本一といっても、これだけの数のエノキがあると幼虫を見つけられる確率は低くなる。

食痕を頼りに探して見つけられたのは2匹だけだ。共に地表から2-3m程のところである。普通に見ていて人の目に留まるような高さにはいなかった。斜面や道路との段差を利用してようやく確認できたぐらいだ。

もっと高いところにもいるのかもしれないが・・・。オオムラサキセンターの話によると採集圧も無視できない水準にあるという。

また、アカボシゴマダラはまだ進出していないとしても、標高が高いからかゴマダラチョウを見かけない。

北杜市西部の河川敷脇のエノキで見つけたオオムラサキの幼虫。この日は2匹見つけることができた。

北杜市西部の河川敷脇のエノキで見つけたオオムラサキの幼虫。この日は2匹見つけることができた。

 

北杜市西部の河川敷に自生するエノキ。

北杜市西部の河川敷に自生するエノキ。

行きと帰りのSA・PAでゴマダラチョウを発見

行きと帰りの甲府・甲斐付近でのSAやPAに生えているエノキも小木を合わせ3施設で樹高2-5m程のものを20本程度見てみたが、いたのはゴマダラチョウ6頭だけだった。オオムラサキもアカボシゴマダラもいない。

ウチの周辺ならアカボシゴマダラが所狭しといるような環境なのだが・・・。アカボシゴマダラが生息域を拡大させていけばこの状況は変わる可能性もありそうだ。

某SA内のエノキにつくゴマダラチョウの幼虫。久しぶりに見た。

某SA内のエノキにつくゴマダラチョウの幼虫。久しぶりに見た。

 

エノキを食草(樹)とする大型のイモムシは主にこの3種。小さいもので20-30mm、終齢幼虫だと60mmぐらいにはなる。

エノキを食草(樹)とする大型のイモムシは主にこの3種。小さいもので20-30mm、終齢幼虫だと60mmぐらいにはなる。

 

この時期のアカボシゴマダラ

では、出発前に見てきたウチの周りのエノキはというとアカボシゴマダラだらけといっていい。4次発生と思しき2、3令程度の幼虫が主体で、3次発生の終令が混在している場所もある。

驚くべきはその生息数と生息密度で、見かける樹高1m以下のエノキにはほとんどについている。それも一枝に4-5頭。4次発生個体は地表から20-30cm位のところに多い。

越冬個体や2次発生個体で見られた縄張り意識も薄れている。エサが限られているのを認識しているのか、枝毎にとっていたホームポジション(糸を吐いて足場を固めた定位置)が葉毎になっているようだ。

4次発生の2、3令幼虫が地表付近に多いのは越冬時に自力でエノキや周辺の樹木の分岐部や根部付近に降りていくためだと思われる。

また、3次発生と思われる終令幼虫がこの後どのような生態をとるのかも興味深いところだ。写真の個体も蛹化し羽化するのなら11月中旬なのだ。

ウチの目の前のエノキにつくアカボシゴマダラの幼虫。地表から20cm位のところだ。

ウチの目の前のエノキにつくアカボシゴマダラの幼虫。地表から20cm位のところだ。

 

ウチの近くの洗車場の垣根にあるエノキにて。もう終令だ

ウチの近くの洗車場の垣根にあるエノキにて。もう終令だ。

 

個体数が多いのは天敵対策か

先日、シジュウカラの一団がウチの周りに屯していた。冬に備えて食欲も旺盛なようだ。エノキの周りでもゴソゴソやっている。

少しして見に行くと10頭以上いたアカボシゴマダラの幼虫は7頭しか確認できなかった。

この時期のアカボシゴマダラの個体数が多いのにはこのような天敵の事情を見越しているのもあるかもしれない。

こちらもウチの目の前の別のエノキ。この枝だけで5頭の幼虫がいる。

こちらもウチの目の前の別のエノキ。この枝だけで5頭の幼虫がいる。

 

アカボシゴマダラと直接的に競合するのはゴマダラチョウ

アカボシゴマダラのオオムラサキ生息域への勢力拡大が懸念されているが、3次、4次発生の個体を含めたアカボシゴマダラの観察によって得た結論は「直接的に競合するのはゴマダラチョウ」だと思う。

3種の生息関連の特徴をまとめてみる。※絶対的なものではないことをお断りしておく

項目オオムラサキゴマダラチョウアカボシゴマダラ
主な生息域山間部-丘陵地丘陵地-平野部丘陵地-平野部
低温耐性
生息個体数普通普通多い
食樹での生息位置地表数m地表1-3m地表数十cm-2m
幼虫越冬形態落葉の裏落葉の裏落葉の裏・幹の分岐部や根部付近

主に落葉の裏側で越冬するゴマダラチョウ(オオムラサキも)の幼虫は民家周辺では踏まれたり、落ち葉とともに人為的に処分されてしまうこと少なくない。

アカボシゴマダラが落葉の裏側のみでなく生息木の幹の分岐部や根部で越冬することを加味すると、同じ個体数なら生存率は圧倒的に高いのではないだろうか。

また、アカボシゴマダラが平野部や周辺の丘陵地帯で特に勢力を拡大しているのは、温暖化に加え都市部の気温が彼らの生息環境として都合がよいというのもあるだろう。

結果、ゴマダラチョウは丘陵部や山間部へ追いやられての生息を余儀なくされる。低温への適合性も南方系のアカボシゴマダラよりはありそうだ。

今回の生息地での分布状況を見ていると、そう結論付けるのが自然と思える。春先まで観察を続けてみよう。

ウチの周りでゴマダラチョウを見かけなくなったのは、既にアカボシゴマダラによる淘汰がほぼ完了しているということかもしれない。

撮影日:2016年10月29日-11月02日他
機材:OLYMPUS STYLUS SP-100EE
Nikon COOLPIX P300
iPhone 4S 7S
撮影場所:千葉県船橋市・山梨県北杜市、韮崎市、甲斐市

2016-11-14:追記

ウチの周辺で樹木の剪定作業があり、エノキをはじめネムノキやハギ他の蝶の食樹がかなり刈り込まれてしまった・・・。

キチョウの幼虫はほぼ壊滅、アカボシゴマダラも確認できたのは4頭のみだ。仕事は丁寧な業者なのだが・・・上手くいかないものだ。

コメント

  1. Mark Youles より:

    Please can you contact me directly? We are researching the requirements for natural breeding of the European Apaturinae species of butterflies (Apatura species). We have lots of data to share on this and could like to collaborate with our Japanese counterparts. Please can you email me. Kind regards.

    • todomichy より:

      thank you for your comment.
      I am sorry, I am not a researcher.
      I like satoyama and nature, I just observed a few butterflies and summarized my thoughts.
      I paid attention. Especially the extent of the outposts of Hestina assimilis of outpatient species is outstanding.
      I hope that many Japanese people will be interested in these things.
      Thank you.

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