ゲンゴロウはタガメと並ぶ水生昆虫の王道だ。ゲンゴロウの成虫は飼育方法も簡単で、常温飼育ができ、丈夫でエサにも困らない、2-3年は生きる、という入門にも最適な水生昆虫なのだ。反面、ゲンゴロウの幼虫は個別飼育で活餌が必要、水替えの頻度が高い等、ややハードルは高い。飼育・繁殖してみると、現在のゲンゴロウの生息環境の厳しさも理解できると思う。
ゲンゴロウは特定第2種国内希少野生動植物種に指定され、2023年1月11日より、捕獲や販売等の規制が環境省より発表されています。ヤフオク等でも出品禁止対象になります。
ゲンゴロウの概要
ゲンゴロウ(学名:Cybister japonicus ※中国種のシノニム説有)は、ゲンゴロウ科・ゲンゴロウ属の代表的な種で日本最大の水生甲虫である。オオゲンゴロウ、ナミゲンゴロウとも呼ばれる。水中生活に適応し、流線型の体型に強力な推進力を生む水掻きに特化した後足で、水中を移動する速度もおそらく最速の昆虫だ。
産卵床となる水生植物が豊富に繁茂する湖沼、ため池、掘や水路に生息し、産卵期には水田でも見られる。幼虫・成虫ともに水中生活が基本であるが、甲虫であるため蛹化が必要である。その際には畦や土手に上陸し、土中で蛹室を作って蛹化、成虫に羽化する。
以前(昭和30-40年頃)までは広範囲で比較的、普通に見られた種であるが、タガメ同様、農薬や護岸、外来生物等の影響により、特定の地域を除いて絶滅の一途を辿っている。環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に分類されている。
特に、近年では水田そのものの乾田化により、幼虫の生息環境が失われていること、水路の護岸工事や水田周囲のトタン等による簡易護岸により、蛹化のための上陸環境が滅失してしまっていることが絶滅を加速させている。その深刻さは蛹化のプロセスを持たないタガメ以上なのだ。
ゲンゴロウの形態的特徴
・ゲンゴロウの成虫の形態的特徴
ゲンゴロウの成虫の大きさは、オス:約35-40mm、メス:約36-43mm。もう少し大きなものや小さなものの採集例はあるようだが、概ねこの範囲だろう。外観は平べったい卵型で、水中活動に特化・発達した大きな後足には遊泳毛と呼ばれる水掻き状の毛が生えている。
また、オスの前足は吸盤状(メスは通常の甲虫と同様)になっていることも特徴の一つである。これは交尾時にメスの背中に張り付くためのものとされていて、ゲンゴロウ種全般のオス・メスの判別基準である。
体色は基本的に暗緑色か黒褐色。光の加減により美しいメタリック調の暗緑色に見える。体型の外周部は黄白色で、腹部が黄白色であることがゲンゴロウの特徴だ。オスは光沢が強く鞘翅上面(いわゆる背)にはうっすらと点刻列が確認できる。メスは全体的にざらついた感じでオス程の光沢感や点刻列はない。
・ゲンゴロウの幼虫の形態的特徴
ゲンゴロウの幼虫は灰色の細長いカタチをしており、終齢幼虫では全長100mm以上、幅10mm程度に達する。頭部には一対の大きな顎を持ち、この大顎で獲物を捕らえる。尾部には呼吸器官があり、これを水面上に突き出して呼吸する。
ゲンゴロウの分布と主な産地
分布域は北海道から本州、四国、九州のほぼ日本全土、離島では西表島。ほぼ日本全土とはなっているが、都市近郊では壊滅的であり、多くの都道府県で絶滅したとみられている。
北関東から東北地方の採集例が多く、長野県や山梨県等も多産地とされる。近畿圏や西日本ではゲンゴロウの生息域は極めて局所的、というのが現状である。ただ、最近では山間部の休耕田等を中心に、絶滅したとみられていた地域での再発見例も出てきている。
日本以外では朝鮮半島、台湾、中国、シベリアに分布する。
ゲンゴロウの生態と習性
・ゲンゴロウの成虫の生態と習性
ゲンゴロウの成虫は、ガマ、アシ、セリ、オモダカ等の水生植物が豊富に繁茂する湖沼、ため池、掘や水路、休耕田等に生息し、産卵期には水田でも見られる。活動期は5月頃から10月頃。冬眠については水中でじっとしている様子なども観察され、詳しいことはわかっていない。飼育時には通年、常温で問題ない。
食性は肉食だ。とはいっても、タガメ等のように闇雲に他の生物を襲うことは少ない。弱ったり死んだりした魚やカエル等の両生類、水面に落ちた他の昆虫等を捕食することが中心で、大顎で肉を齧り取るように食べる。飢えてくると共食いの事例も観察されている。血や体液等の匂い(発する振動も?)には敏感で、獲物に複数の個体がかじりつくことも多い。
水中生活が基本であるが、甲虫であるから飛翔もする。集光性があり、夜間には灯火にも飛来する。また、水上で植物の茎などに止まり、甲羅干しのような行動も見せる。この時にゲンゴロウ特有の臭いを発することが多い。また、手で掴まえたりすると頭部や胸部付近から乳白色の分泌物(前述の独特な臭いがする)を出し、天敵などから身を守るようだ。
ゲンゴロウ類は翅と腹部の間に空気を溜めることができ、呼吸のためのボンベの役割を果たす。酸素が不足し換気の必要がある場合には、尾部を水面に突き出し換気を行う。この時の水面に向けての後ずさりのような泳ぎ方はなかなかユーモラスだ。
5月から8月頃にかけて、オスがメスの背中に張り付いて交尾をする。交尾を終えたメスは産卵床となる水生植物のガマ、アシ、セリ、オモダカ等の茎をかじって、その内部に10-15mm程度の細長い卵を産み付ける。
寿命は長く、飼育下では3年程度生きることもある。
・ゲンゴロウの幼虫・蛹の生態と習性
メスによって産み付けられた卵は10日程度で孵化し初令幼虫となる。初令幼虫はミズムシや他の小型水生昆虫等を捕食して2令、3令へと成長する。共食いも珍しくはない。
ゲンゴロウの幼虫は完全な水中生活で、見た目よりは泳ぎも達者だ。網ですくったりするとドジョウのように体をくねらせて跳ね回る。
食性は肉食で、成虫とは異なりタガメのように完全な生体捕食である。獲物は他の水生昆虫、魚、カエル等の両生類、エビ等の甲殻類等の他、水面に近づいたり落ちたりした昆虫等も捕食する。自分より大柄な獲物でもお構いなしなところがある。
狩りのプロセスは、まず獲物を認識すると足を使ってゆっくりと近づいていく。そして射程圏内に入ると向きとタイミングを計って素早く飛び掛かり、大顎で噛みつくのだ。上手く噛みつけると大顎から獲物の動きを麻痺させる体液と消化液を獲物の体内に送りこみ、獲物の体組織を体外消化して吸引する。
なお、大型の幼虫に噛まれると人間でも激痛を伴って体組織が壊死することもあり、素手で不用意に持ったりすることは非常に危険だ。
初令幼虫から2令、3令へと脱皮し、成熟した3令幼虫は蛹化のための準備に入る。兆候としては、エサも食べなくなり、せせこましく動き回る。外観上は体が全体的に透明になってくる。といったものが挙げられる。1-2日で適当な上陸位置を決めると上陸して土中に潜っていき、周囲を固めて蛹室を作る。ここで上陸できないと溺死してしまう。
上陸した幼虫は、蛹室の中で前蛹の期間を経て蛹化する。その後、1ヶ月程度の期間を経て成虫へと羽化する。上陸から羽化までの期間は外気温にもよるが概ね40-50日といったところだ。
ゲンゴロウの飼育と繁殖
ゲンゴロウの成虫は常温(30度以下)で飼育でき、活餌も必要とせず、多少の水質変化にも対応できるので、飼育は容易な部類だ。寿命も長く入門用としても向いている。逆に幼虫では、個別飼育が基本になり、活餌が必須であることに加え、蛹化のための上陸のタイミングを見極めるのが難しい。以下に飼育時のポイントをいくつか挙げておくので参考にされたい。
ゲンゴロウの成虫の飼育
用意するもの
・水槽
これは大きいものがいい。可能なら60cm以上、最低でも30cm以上は欲しい。というのも、ゲンゴロウの泳ぐ力はかなりのものなので、驚かせたりすると壁面に激突させてしまうことが少なくない。複数ペアを快適に過ごさせるには大きな水槽が望ましい。大きい水槽は水質の急激な悪化も回避できる。小型水槽の場合には、甲羅干しのための水上空間を必要とするので、高さのあるものを用意したい。
・敷き砂
市販されているソイルと珪砂を使う。まず、珪砂を全体的に底面に、その上からソイルを立体的(前方を薄く、後方を厚く)敷いていく。水草を植える場合には厚みは70mm以上あった方がいい。
ウチでは珪砂だけの場合もあるが、その場合には黒土・けと土・荒木田土・腐葉土(これらは無論、無農薬なもの)等をひとつかみ程入れている。たまにカキ殻を少々。
・流木等の止まり木
ゲンゴロウは甲羅干しの習性があるので、水から上がれる環境は用意しよう。また、ゲンゴロウは空気をためているので水中で掴まるところがないと浮上してしまう。その足場としても有効だ。アク抜きを忘れずに形状等ははお好みで。
・水草と水生植物
見た目のアクセントと足場として入れておきたい。セリやクワイ等を植えたり、ホテイアオイ等を入れておけば産卵床にもなる。ウチでは浮上性のものとしてサンショウモ、浮遊性のものとしてマツモ、産卵床としてセリを入れる場合が多い。あとはアナカリスやウィロモスを少し入れている。
・フィルター
一般にセット販売されている外部フィルター(外掛け式)でも問題ないが、甲羅干しのために水位を低めにする必要もあるので、ウチでは水作の水中パワーフィルターを愛用している。
・蛍光灯
水草を入れるならばその育成のためにも20W(100W相当)クラスがいい。ウチでは家庭用のクリップライトも使っている。
餌(エサ)
過剰に与える水質悪化の要因になるし、少なければ共食いが起こる。どのくらい食べるのかを観察しながら与える量を調整しよう。食べ残しはすぐに撤去すること。
・生餌
ミミズ、刺身、ミルワーム、ザリガニ、食肉等、比較的何でもよく食べる。タガメの食べ残しの小魚などは大好物だ。変わったところではスイカやキュウリ等も食べるようだ。ただし、匂いがしないものはエサとして認識できないこともあるので、少し傷つけるか、ピンセット等で目の前に持っていってやる。
なお、冷凍アカムシや釣り餌のアカムシはよく食べるのだが、昆虫用の成長抑止ホルモン等を与えられている場合があるので、緊急用程度に考えておこう。最近ではミルワームにも投与されていると聞く。
・人工飼料
熱帯魚用飼料、肉食魚用のペレットやカメ用のペレット、クリル等も可だ。これらだけで飼育している人もいる。
注意点
・脱走に注意
ゲンゴロウには甲羅干しの習性があるので、水上へ上がることが多々ある。加えて、甲虫であるから飛翔性もある。特にフィルターのコードやエアチューブ等を伝って脱走するケースが多いので、フタのスキマには注意しよう。
・飢えれば同居者も犠牲に
ウチではゲンゴロウの食べ残しや水質浄化機能を期待して、シマドジョウ、ヌマエビ、タニシ、シジミを同じ水槽に入れている。飢えてくる(というより腹が減る)とシジミの水管をかじるようになった。シジミが弱ると貝殻の間に頭を突っ込んでかぶりつく。次に狙われたのはタニシだ。ひっくり返してフタが閉まる前にかじりつく。比較的動ける同居者はやられることは少ないが、エサが少なめだったり、弱ってくるとすぐに捕食の対象になることは留意しておきたい。これはゲンゴロウ同士にも言えることだ。
ゲンゴロウの幼虫の飼育
ゲンゴロウの成虫を飼育していて、交尾が確認でき、水草に産卵痕があるようなら、幼虫が生まれてくる可能性がある。1-2週間は注意深く水槽内を観察しよう。多くは水面近くの水草や流木でじっとしていたり、足を動かして浮遊する15mm程度の初令幼虫が出てくるはずだ。見つけたら、幼魚用のネットを使って丁寧にすくい出そう。個別に管理しないと親に捕食されたり、すぐに共食いをしてしまう。
用意するもの
・大型のプリンカップ
400mlクラスのものがいいだろう。もちろん代用出来る他の同容量容器でも問題ない。新品を使う場合には軽く中性洗剤等で洗い、剥離剤を落としておく。初令の場合はもう少し小型の容器でもいいが、大きいものは終令まで使える。
・ピートモスと黒土
園芸用(無農薬)のものでいい。蛹化の際の土壌を作る時に使用する。ウチでは黒土6、ピートモス4位の割合で混合し、加水したものを使っている。加水の程度はちょっと水っぽいか?と思うぐらいだ。
・深さのある容器
幼虫は蛹化の際には少し深く潜るので、100mm程度の土壌の厚みがとれる容器が要る。クワガタをやっているなら550ccとか850cc程度のビンが使える。
餌(エサ)
・活餌
ゲンゴロウの幼虫は基本的に活餌しか食べないと考えていた方がいい。今はコオロギが各種サイズで簡単に手に入るので以前より楽にはなった。ミルワームも結構食べる。2令以降はメダカや小赤等も与えるといい。もちろん、無農薬のヤゴや小魚が確保できるならなお可である。
冷凍アカムシや釣り餌のアカムシ、ミルワームは昆虫用の成長抑止ホルモン等を与えられている場合があるので、緊急用程度に考えておこう。幼虫では脱皮不全、蛹化不全を起こしやすいと思われる。
具体的な飼育
プリンカップ等の容器に中和した水を入れ、足場になる水草も適せん入れて一匹づつ飼育する。ウチではミネラルの補充の意味で前述の黒土・けと土・荒木田土等もほんの少し入れている。
エサは基本、毎日だ。常時見ていられなければ、朝と夜にする。幼虫は液体状の糞を多量にするので、表面に油分が浮いてくるようなら呼吸困難にならないよう水替え等も頻繁に行うこと。食べ残し等の撤去は成虫以上に留意しなければならない。
加令の脱皮をする際には、1-2日前位からエサを食べなくなり、体が透き通ってくる。動き回らないので上陸する場合とは見分けがつく。脱皮直後の幼虫には触れないようにしよう。
3令になって、10日から2週間ほどするとエサを食べなくなり、頻繁に動き回るようになる。そうしたら上陸の可能性が高い。放置しておくと溺死してしまうので、蛹化用の土壌を入れたビンを用意し、強制的に上陸させる。普通は20-30分もすれば土中に潜っていく。1-2日経っても潜っていかなければ、一旦、元のカップに戻して様子を見るのも手だ。再びエサを食べるときもある。
上手く事が運んでいれば、土中に潜ってから40-50日すると成虫が自力で表面に出てくるだろう。最低でも2-3日、カップによる個別飼育で水になじませてから水槽に移してやろう。体が硬化していない新成虫は捕食の対象にもなりやすい。
最後に
冒頭でも述べているが、ゲンゴロウの成虫飼育は容易だ。産卵・初令幼虫の発生までは多くの人がたどり着くと思う。
幼虫の飼育で問題となる活餌の確保も、コオロギやミルワーム等が簡単に入手できるようになったので、コストを除けば水替え以外の負担は大幅になくなったと言えるだろう。
とはいえ、ゲンゴラー(ゲンゴロウ種の飼育・繁殖をしている人)諸氏のブログを拝見していると、幼虫飼育にあたっては、各々、工夫を凝らされているのがわかる。
特に蛹化のための上陸をスムーズに促すため(ここで溺死させてしまっては今までの苦労が水泡に帰す)に、様々な素材、形状で足場を作られているようだ。
かくいう私も、昔は小型種の多頭上陸セットなるものを作ったこともあった。(50頭以上いたので・・・)
全ての昆虫飼育に通じることであるが、「自然界ならどういう行動をとるのだろう」という意識を常に持って、創意・工夫してみることが大切だと思う。相手は生き物なのだ。
以上、これからゲンゴロウ飼育を始める人は参考にしてみてほしい。
コメント
大変勉強になりました。ありがとうございます。
当方、市川市に在住の50代会社員です。
小学生の娘がメダカ飼育に興味を持ち、手伝ううちに子供の頃に水生昆虫飼育をしていたのを思い出し、是非娘にゲンゴロウの一生を見せてあげたいと思い、7月につがいのゲンゴロウを始めました。しかし、オスは若くて元気なのですがメスが交尾を避けるようになり、自然に死んでしまいました。すでに高齢だったように思われます。
娘に幼虫を見せてあげたかったのですが今からではもう無理でしょうか?メスを再び購入しようとショップへ行っても、業者に聞かないとわからないそうで連絡待ち状態です。
何かアドバイスいただけたら幸いです。
どうかよろしくお願い申しあげます。
コメントありがとうございます。
ゲンゴロウは今頃が羽化した新成虫の活動時期でもあり、生息地では数が最も多くなるようです。
9月-10月あたりまでは繁殖活動もしていると思われますが、自然界では幼虫が発生したとしても水温やエサの関係で成虫にたどり着くことはほとんどないでしょう。
個体を入手するには天然にしてもブリードにしても今頃が最も容易な時期といえます。繁殖床のセリやホテイアオイ等も今なら入手できるでしょう。
幼虫の飼育も飼育環境下では加温すれば問題もないので10月に産卵、年末から年始にかけて羽化、ということも可能です。
実際、掲載しているゲンゴロウの写真の多くは10月から翌1月にかけて撮ったものです。
あと、交尾中のメスは呼吸が難しく窒息したり、交尾自体も負担がかかるようなので死亡することがままあります。
状況によってはオス・メスを分けたり、2ペア以上を大きめの水槽で飼育するのが良いのではないでしょうか。
以上、ご参考までに。ご不明な点がありましたらまたご連絡ください。
私も貴方と同じように東京東部在住の水生昆虫好き親父です。小学生の頃に水生昆虫にハマり、2年前から本格的に再開しました。
我が家の屋外にはタガメ、ゲンゴロウ5種(ナミ、クロ、シマ、コシマ、ヒメ)が混泳されているビオトープのような水槽があります。その中には水草と浮き草(ホテイ草)を入れてあり、水生昆虫の暮らしやすい環境を整えてあります。
この春先にホテイ草の中にいずれかのゲンゴロウが産卵をしたようで、かじりついた痕跡が確認されました。今では幼虫が水面に目視確認できるだけで30匹以上いるような状況になりました。
おそらくナミゲンゴロウの幼虫であると思うのですが、5種のゲンゴロウが混泳されているので、確信を持てません。
そこで我が家のゲンゴロウ幼虫の種族鑑定を依頼したいのですが、ご協力してもらえるでしょうか?
もし協力頂けるならば、ゲンゴロウ幼虫の写真を指定されたメールアドレス宛に送らせていただきます。
コメントありがとうございます。
そちらで飼育されている5種は全て実物を見たことがあるので識別は可能かと思います。
産卵形態からすればナミかクロゲンでしょう。他は水草等の表面への直接産卵ですし。
ヒメは形態が他と異なりますからすぐに分かります。
加令状態にもよりますが、ナミとクロゲン、シマとコシマは近縁種でもあり注意が必要かと思います。
直接、ご連絡しますね。
以前、コメントさせてもらっKokioyaです。あれから13匹を選択して単体管理したところ、ナミゲンゴロウ7匹クロゲンゴロウ3匹が終令幼虫にまで至ることができました。
ナミゲンゴロウの最大個体(最年長個体)が餌(コオロギ)に関心を示さなくなってきたので、湿らせたピートモスの上に上陸させてみたのですが、3時間放置しても一向に潜ろうとしないため、また水に戻しました。
私は待つのが苦手なため、じれったくなってしまい、少々いじり過ぎてしまう傾向にあります。
当初は上陸用水槽を設定しようかと思っていたのですが、狭い自宅のスペースの都合上設定が困難でした。
やはり、上陸させて最低でも一晩は様子見をした方が良いでしょうか?
お世話様です。
やはり、ナミゲンが多かったのですね。種別の生息個体密度を確認していなかったので、ちょっと気になってました。ナミゲンがいる環境下では他の種はどうしても捕食対象になりやすいですから。サイズも相応にデカいですし、生き残るのはナミゲンだけ、ということも少なくないです。
さて、ワタシの場合、上陸させるときは体色が透明になってきているかも重視してます。強制上陸させたら1-2日はそのままですね。それで潜らなければ一旦戻して様子見です。
戻して体色が透明化してきているようであれば、こちらも1-2日で再度強制上陸させていますが、この辺の見極めが最も気を使うところです。四六時中見てられませんし。
上陸させない方がリスクとしては大きいので、早めに割り切るようにしています。
上陸土壌も、本文中にあるように、黒土の割合が多めです。ピートだけでOKという人もいますが、私が見てきたナミゲンの生息地は概ね水田の畦のように少し粘り気のある土壌だったからです。深さも10cm以上あった方がいいと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
貴重な助言ありがとうございます!
今のところピートモスしか用意できていないので、今回はピートモスのみで対応し、次以降の上陸個体の時には黒土を用意したいと思います。
餌には関心を示しませんが、体色が透明にはまだなっていないような気がします。私の選定眼が未熟すぎるので、なんとも言えないところではありますが(汗)
確かに私も今までナミゲンゴロウは3回ほど捕獲したことがあるのですが、生息地の土壌は全てやや粘り気のあるようなエリアでした。全て長靴がズボッとハマッて抜けなくなるような水生植物の繁茂する泥質の池でした。
明日、丸一日仕事なので出勤前に強制上陸させて翌朝まで様子見してみたいと思います。
また、容器を移す際に暴れてしまい二回ほど床に落としてしまいダメージを与えてしまったのですが、移し替えの際のコツなどはありますでしょうか?
私は容器同士を隣り合わせて箸二本を体の下にくぐらせてリフトアップするようなやり方に辿りつきはしたのですが。
お世話様です。採集経験がおありなのでしたら生息地の状況をよく観察・分析することが肝要と思います。有益な情報がいくつもあると思いますよ。
移す時のコツというか、まず、床で作業することですかね。プチプチとかを敷いて。落としてもダメージが少ないですし。私は大型スプーンや熱帯魚用ネットを使ってきましたが、最終的には無漂泊のキッチンペーパー(関東ならマルエツで売ってます)をU字に曲げて、その中に追い込んで移送するようにしてました。
上陸用の容器もクワガタ用の850-1400cc級ボトル位、深いものがいいですね。浅いと移した瞬間に暴れられて容器外へ飛び出し跳ね回りますから。
経験的に言うと1m程度落とした時のダメージは結構大きいと思います。蛹室を作ってもそのまま★になったり、蛹化不全の原因にもなっている感じがします。
やはり、デリケートな時期なので注意するに越したことはなさそうです。
あと、どうしても潜らない個体もいると思います。このページのコガタノの蛹の写真も3回程度上陸させても潜らなかった個体で、適当に窪みを作って人工蛹室とし、蛹化・羽化させました。
ご無沙汰しております。8月にゲンゴロウの上陸について助言を頂いたkokioyaです。その節は大変お世話になりました。
あれから我が家のゲンゴロウはナミ×7、クロ×4の全てが無事羽化に成功し、屋外のビオトープ水槽で元気に泳ぎ回っています。
甲信越のゲンゴロウ多産地の池にあのあと出向き、ナミゲン成虫×3と幼虫×3を捕獲して持ち帰り、助言頂いた方法で天然個体幼虫×3も全て羽化に成功できました。
来年はゲンゴロウを繁殖させ、ナミゲンが減少傾向にある北関東の原産地へと帰還させたいと思っています。
ナミゲンとクロゲンについては飼育の感触をつかむことができました。本当にありがとうございました。
お世話様です。ご連絡ありがとうございます。
まずは「おめでとうございます!」ですね。かなりの高確率で羽化迄持っていけたことはスバラシイと思います。
ゲンゴロウでもクワガタでも海水魚等でもそうですが、採集実績がある人の多くは対象物目線で細かなところに気配りができているということが大きいと思いますよ。飼育というのは、いかに細かな気配りをしつつ、過度な干渉をしないか、というのもあるでしょう。
まず、大型種がクリアできたということで、次は中小型種ですかね。シマ・コシマ系は食性も大型種とそう変わらないですし、何より、上陸後の蛹室作成プロセス(自分でドーム状のものを土塊を積み上げて作ります)が見ていても面白いです。
あと、私の解釈が違っていたら申し訳ないのですが、累代個体を親の採集地以外で放虫するのは止めましょう。地域個体差の滅失や遺伝子汚染の原因になりますし。もっとも、ホタル・タガメ他、既に手遅れの種が多いのも現実ですが・・・
また、何かありましたらご連絡いただけると幸いです。
返信ありがとうございます。おかげさまで羽化成功率は100%でした。助かりました。
放虫に関しては大変勉強になります。己の認識が甘いと知りました。
子孫帰還については、来年の秋に北関東原産の種族を元いた場所に放そうと考えているのですが、甲信越産のナミゲンと既に混泳させてしまっており判別が難しいので、帰還計画は中止にしようと思います。
小型種の繁殖もそのうち着手してみたいです。タガメ、ゲンゴロウは感触を掴めたので、シマゲンゴロウやマルガタゲンゴロウなどの小型種にチャレンジですね。
私生活が来年は今年よりも忙しくなりそうなので、そこまで時間とエネルギーを確保できるかはわからないですが。