特定外来生物となるアカボシゴマダラチョウ

他のヒョウモンチョウやジャノメチョウを威嚇するアカボシゴマダラの春型。
他のヒョウモンチョウやジャノメチョウを威嚇するアカボシゴマダラの春型。

ウチでも何度か取り上げてきた「アカボシゴマダラチョウ」。在来種であるゴマダラチョウを圧倒し、今年7月頃には「特定外来生物」に指定される予定※の蝶である。指定が施行されれば特別な場合を除き飼育・販売・運搬等も禁止されことになる

※特定外来生物に指定されました。公布:平成29年11月27日、施行:平成30年1月15日

「環境省:指定日別 特定外来生物一覧」(PDF68KB)

エノキの枝や株の基部でも越冬するアカボシゴマダラ。

先日、役所・金融機関関係の手続きを済ませ、いつもの洗車場に立ち寄るとエノキの小木に産み付けられたカマキリの卵嚢の上で越冬しているアカボシゴマダラチョウの幼虫を見つけた。なるほど、確かにこれなら落葉とともに人為的に処分されてしまうことは少なそうだ。当然、生存率も上がる。

エノキに産み付けられたカマキリの卵嚢上で越冬するアカボシゴマダラ。

エノキに産み付けられたカマキリの卵嚢上で越冬するアカボシゴマダラ。

ウチの前のエノキの小木は、大掛かりな清掃で落葉はほとんど処分されてしまっているので、落葉について越冬していたアカボシゴマダラの幼虫はほぼ皆無になったが、このように枝についている個体の数頭は生き延びれると思う。これは落葉で越冬するオオムラサキやゴマダラチョウに比べると圧倒的に有利といえる。

晩秋に成長したアカボシゴマダラは羽化迄辿り着けない。

その他に発見したのは、羽化できなかったアカボシゴマダラの蛹の残骸だ。これは10月から11月にかけて蛹化した個体だろう。羽化した形跡はなく、やはり晩秋に成長した個体は成虫にはなれないようだ。ここ以外でもこのような蛹の残骸は何個か見ているのでほぼ間違いない。越冬幼虫は3次発生か4次発生かは断定できないが晩秋に孵化した個体なのだろう。

昨年11月頃に蛹化したと思われるアカボシゴマダラの蛹。羽化はできなかったようだ。

昨年11月頃に蛹化したと思われるアカボシゴマダラの蛹。羽化はできなかったようだ。

アカボシゴマダラの特定外来生物指定だけでよいのか?

さて、前述のようにアカボシゴマダラが「特定外来生物」となったことで飼育・販売・運搬等が禁止される。飼育・放蝶等がなくなる分、これ以上の人為的拡散は抑止できるかもしれないが、現状でゴマダラチョウと共存しているエリアでは自然拡散を推進することにもなる。在来種の保護という観点からは別途、何らかの対策も早急に必要になるだろう。ウチの周辺を見ている限り、まだ拡散していない地域でゴマダラチョウが淘汰されるのにそれほど時間がかかるとは思えない。

特定外来生物指定の周知徹底の不足の問題と罰則

特定外来生物指定の周知徹底はイマイチな感じであるが、罰則はある。

「環境省:外来生物法 罰則について」

特に首都圏では身近な種となっていること、幼虫の生息環境が「低木のエノキ」を中心としていること等により「子供でも簡単に採集可能」なことは問題だろう。加えて競合種となる「ゴマダラチョウ」や「オオムラサキ」に酷似した外観から正しく識別できるかどうかも問題になる。

子供が採集してきて飼育、ブログ等で紹介して、羽化させてみたら「アカボシゴマダラ」だった、で即、罰則適用にはならないとは思うが、注意が必要である。

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