先日、飼育中のヒラタクワガタのペアリングに成功し、交尾を確認できたので、産卵セットを組んで繁殖をはじめてみた。
ウチで飼育しているヒラタクワガタは、昔からどうも「爆産(大量に産卵・幼虫が孵化すること)」というのに縁がない。
今、飼育中のヒラタクワガタの種親にあたるペアは、非常に相性が良く、最初のペアリング以来、産卵時を除いてはずっと同居飼育だったのだが、2年少々の生存期間で15個程の産卵をしたのみのようだった。その他のペアでもずっとこんな感じだ。
産卵セット(マットや産卵木)に問題があるのか、環境に問題があるのか、個体の問題なのかは明らかではないが、懲りずにもう1-2世代を累代することにした。
まずはペア選び。元気で気に入った個体を選ぼう。
今回、ペアリングするヒラタクワガタの種親候補は、飼育中の個体で最も大きなオス:70mmとメス:36mmのペア。大きさもさることながら、エサの食いも良く、何より活発なのが大きな理由だ。
なお、今回のペアリングにあたり、1週間前位から、何度か顔合わせをさせている。
ペアリングの方法は主に2つ。確実なのはリアルタイムで確認できるハンドペアリングか。
ペアリングには主に以下の2つの方法が知られている。後者はハンドペアリング等とも呼ばれる。それぞれ長所(メリット)・短所(デメリット)があるので、自身の置かれた環境によって選択するといいだろう。以下に特徴をまとめてみた。
●成虫の飼育ケースや用意した産卵セットのケースで3日から1週間程度同居させる方法。
長所(メリット) | ・つきっきりになる必要もなく手軽で楽。 |
短所(デメリット) | ・確実な交尾を確認しにくい。 ・オスによるメス殺しを防止するために「顎縛り※」等の対策が必要。 ・「顎縛り」等の対策によりオスにストレスや負担を与えやすい。 |
●トレイや空の飼育ケース内にエサ皿等を入れてオスとメスを近づけ、常時観察する方法。
長所(メリット) | ・確実な交尾を確認できる。 ・オスとメスの状態を常時観察、問題発生時には人為的な介入が可能。 ・介入できるので、メス殺しの心配は少なくなる。 ・オスの顎縛りも短時間で済むので与えるストレスも少ない。 |
短所(デメリット) | ・交尾終了までずっと観察を続けなければならない。 |
確実性とオスに与える負荷を考えると後者の「ハンドペアリング」がオススメだ。観察時間も長くて1時間少々であるし、観察によって得られる情報も少なくない。
※注:オスの顎縛り
ヒラタクワガタ類はオス・メスともに気性が荒いものが多く、ペアリング時にオスがメスを挟み殺してしまうことが少なくない。これを防止するためにオスの大顎を予め結線ワイヤーやタイラップ等で開かないように縛ってしまうことをいう。この場合、1日程度様子を見て、オスが落ち着いてからペアリングするのが一般的。私は特に気性が荒い種以外ではやろうと思っていないが、やらなければならない状況もあるだろう。
ハンドペアリングの手順と注意事項。
以下が私が行っているハンドペアリングの手順と注意事項である。(大それたものではないが・・・今のところ失敗したことはない)ペアリングを行うクワガタの種類や飼育者によっては異なることもあるかもしれないので参考程度にご覧いただきたい。
ハンドペアリングの手順と注意事項
- 空のトレイや飼育ケース等にエサ皿を入れ、合わせて止まり木、樹皮・落ち葉等のメスが(2次元的に)逃げ込める環境を作る。
- オスを入れ、少し待って落ち着かせる。(必要なら事前に顎縛り)
- メスをオスの近くに入れる。この時、このようにオスが過剰に警戒・威嚇するようであれば離れた場所に入れてみる。
- メスがオスの近くに行くように適度に仕向ける。(私は筆で少し向きを変えさせている)
- オスがメスを認識した段階でオスが戦闘態勢に入ってメスを攻撃するようなら、直ちにメスを取り出す。
- オスがメスに興味を示し始めると、舌を出し、メスの上に被さろうとする。
- オスはメスが逃げ始めると追いかけていき、上に被さると甘噛みと呼ばれるメスの頭部を大顎で軽く挟む行動をとる。(威嚇体勢とは全く異なるので誤解しないよう)
- 数分位これらのやり取りが続き、メスが交尾する気になるとおとなしくなり、交尾が始まる。
- 交尾の時間は概ね20分程度。オスは何度か向きを変えるようだ。
- 交尾終了後もしばらくはオスがメスに被さるメイトガードをすることが多い。
- オス・メスが双方勝手に動き回るようになったら終了だ。
ハンドペアリング時のキモとなるのは、次のようなところだろうか。
- メスが土中に逃げ込んでしまうということのない環境を作ること。
- オスが警戒態勢でない状態の時に上手くメスを近づけさせること。
- オスがメスに興味を示し始める状態を見極めること。
- 甘噛み(結構、ガシガシと音がするので)を攻撃と間違えないこと。
今回のペアは、2-3日オスの飼育ケースで同居させた後、メスを産卵セットに投入した。どのような結果になるかが楽しみだ。
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