クワガタやカブトムシの幼虫を飼育していると、脚の一部を欠損したり、体に傷を負ってしまうことが多々ある。個別飼育や厳重な管理をしていても完全には回避できない事象の一つだ。
状態が良かったら、まずは飼育を続けてみよう
上の写真はオオクワガタのメスの3令幼虫である。右中脚の先端部のフセツが欠損している。体重も13g位、状態も良かったのでそのまま飼育を続けてみた。
下が羽化した成虫である。48-49mm程ある。あの欠損していた右中脚先端部も再生している。
もし、飼育中の幼虫が傷を負ってしまった場合、重傷でなければそのまま飼育を続けてみよう。軽傷の場合にはこのように完全再生することもある。
再生の秘密は蛹化プロセスと成虫原基にある
再生の秘密は完全変態の蛹化プロセスにあるらしい。詳しいことは専門外なのだが、蛹化時には幼虫時代の細胞を全てリセットし、成虫としての体の各部を構成するために折りたたまれていた成虫原基と呼ばれる細胞群が一気に展開されるそうなのだ。
※つまり、幼虫時代の脚と成虫の脚は別物なので、再生という表現はあまり適切でない。
体を形作る養分が十分に蓄えられ、各部の成虫原基が損傷していなければ、多くの場合、成虫としての体裁は保てるとのこと。ただし、ほぼ完全体が可能なのは軽微な損傷でいくつかの条件が揃っている場合のようだ。
幼虫時の外観は前蛹時に成長を始める成虫原基の器となる。やはり完全体であるに越したことはない。脚が一本ほとんど無いといった場合は成長した成虫原基の行き場がなく、成虫の形態形成を何かしら阻害するのだろう。
結果、多くの場合は羽化したとしても、顎や脚の長さが短くなったり、上翅・下翅の展開が上手くいかなかったりするようだ。明らかに羽化不全といえるような場合は寿命も短くなることも多い。
後天的な要因による異常は後世への影響は少ない
今回は良い条件が揃っていたようなので、ほぼ、完全体となったようだ。とにかく、昆虫自身の生命力に期待して成虫まで育ててやろう。
もし、どこかに影響が出ても生殖活動ができるのであれば、このような後天的な要因による異常の場合、後世への影響はほとんど無いそうだ。
※どこかの研究記事で見かけた内容なのですが、出典が見つかりませんでした。
【参考文献等】
●各種昆虫マット
●各種昆虫ゼリー
●各種飼育ケース
●各種アクセサリー
●クワガタ・カブト生体
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