生態でも述べたが、オオクワガタをはじめとするドルクス類は自然環境下では樹洞や樹皮の捲れ等に潜むことを好む。可能であれば、飼育環境下でも同様の隠れ家を用意することが望ましいと私は考えている。
安心して身を隠せる環境があるということは、オオクワガタのストレスを軽減し、ひいては寿命も延びるのではないだろうか。「穴があったら入りたい」これはオオクワガタにとって結構、切実な願いだと思うのだ。
飼育アイテムが充実してきた近年では、天然の樹洞をベースにしたものをはじめ、天然木に穴あけ加工を施したものが販売されている。仕上がりもテラリウムに使用できる高級品から、簡易加工の安価なものまで様々なものがあるので、いくつかご紹介したい。
※素材が天然木であるので、特に通販を利用する場合、形状や大きさがまちまちであったり、多少のヒビ割れなどがあっても許容しなければならないことをお断りしておく。
ウチでの使用状況等は次の記事をご覧ください。
天然の樹洞を加工した手作りの高級品
天然木の樹洞を加工し、腐食防止加工や表面仕上げを施したもの。多くはエサ皿受けとして加工もされており、大きさは概ね小・中型の飼育ケースに収まるようになっているようだ。テラリウムを組もうと考えているなら、この手の大型のものを手に入れたい。
木工職人の手によるものがほとんどで、店頭販売されているものは少ない。入手はヤフオク等が一般的だ。数名の職人さんが数点を出品している。
仕上げや加工の仕方には職人さんの個性があるので、ベースとなっている木の形状、入居予定のオオクワガタのサイズとあわせ、好みに合うものをチョイスしよう。かつては数万円、というものが主流であったが、現在では2千円から5千円程度のものが多い。
天然木に穴あけ加工を施した普及的製品
フジコン:インセクトシェルター
現在、最も入手しやすいのが、大阪のフジコンさんが提供している「インセクトシェルター」シリーズだろう。二股の天然木をベースにしたものもあり、サイズや形状もそこそこ安定している。
穴あけ加工そのものもベースの樹木に合わせた変則的な形状にしてあり、面取りも丁寧にされている。Mサイズでは上部に16gと18gワイド対応のエサ受けがある。サイズはS、M、Lの3種。価格は700円から2000円程度である。
商品としてはよくできているが、穴が前面と背面の2箇所、底面が貫通式に加え、上部のエサ受けの片方も貫通しており、「クワガタを落ち着かせたい」、という私のコンセプトとは少々合わないのが残念。もちろん、単なる産卵木よりはずっといいので、いつもクワガタの姿を見たい、観察したいという方にはいいだろう。
三晃商会:昆虫のかくれ木
ヤマイネさんの「かくれ家」は流通量が少ないこともあり、入手性に難がある。代替品を探してたどり着いたのが、「三晃商会の昆虫のかくれ木」だ。
構造は「かくれ家」に近く、上面に16gと18gのエサ入れ、側面の穴は1個で、底面の穴は貫通式。なお、この底面の穴は65gのエサ受けに対応している。
フリーサイズだが、小型のものでも70-75mm位のオオクワガタに使用できそう。価格も450-500円程度なのは魅力的である。
素材はナラ、サクラ、タブノキ、カシ等がある。通販では指定できないので留意したい。
ミタニ:かくれが
「ミタニ」さんから「かくれが(NW-09とNW-10)」が販売している人工樹洞。
残念ながら、ワタシにとっては穴の開け方が中で過剰、小は不足・・・。
とはいえ、NW-09の中サイズは十分、実用に足るものだ。
季節商品なのか、夏場以外の流通量がほぼない・・・。
ヤマイネ:かくれ家
飼育数が多い向きには、奈良のヤマイネさんが提供している「かくれ家」がコストパフォーマンスに優れている。サイズが結構マチマチで、穴あけ加工は単調な円形だが、面取りはされているし、上部にはゼリー穴もある。サイズはS、M、Lの3種。なにより400円から800円程度で購入可能なのは助かる。
底面が貫通式で穴は正面の1つだけというのも、私のコンセプトにはピッタリだ。ウチのオオクワガタのオス達には、必須アイテムになっている。
現在も販売はされているのだが、扱っている店舗が少ないのは惜しい・・・。
産卵木・止まり木への穴あけ加工
大型の産卵木(直径12cmクラス)にドリルやリューターで穴あけ加工を施すもの。口径4×5cm、奥行8-10cm程度の横穴を空け、リューターで仕上げる。メリットは地表からある程度の高さのあるところに樹洞を再現できるところであるが、片穴の場合、生体の取り出しは難しく、オス・メスを同居させた場合は、しばらくするとメスによって産卵木と化してしまうので、耐久性がないこと等の問題はある。
過去に数本加工してオオクワガタやヒラタクワガタに使ってみた感じでは、多くの個体は気に入ったようだ。マットやにエサ皿の下に潜ったりすることが激減した。大体、頭から突っ込んで行くが、しばらく静かにすると出てきて、後ずさりして入るようになる。少し大きめに穴あけ加工したものをオオクワガタで使ってみると、オス・メスが仲良く同居する例も見られた。
※同居させた場合、メスがオスのフセツを噛み切ってしまうなどの弊害もあるため注意が必要である。
樹皮・落ち葉も有効な隠れ家だ
樹皮や落ち葉も隠れ家としては有効だ。オオクワガタ用としては人口樹洞には及ばないにしても、転倒防止効果も期待できるし、無いよりはあった方がずっとマシだと思う。今では、この手の樹皮、落ち葉も飼育アイテムとして販売されている。
樹皮は、産卵セットを組む際に出る廃材を利用しよう。産卵木は加水し樹皮を剥がしてセットするが、この時に樹皮を丁寧に剥がして乾燥させれば十分使える。
落ち葉も、近くにクヌギやナラ等の雑木林があるなら、秋口に採り貯めておくのもいいだろう。もちろん、雑木林の所有者にはお断りを入れておくこと。
私の場合は、10月に長野県の高原部に行くことが多いので、ペンションのオーナー等にお断りして、敷地内のミズナラの落葉を20-30L位持ち帰って使用している。
レイアウトのアクセントとしても色々使えるので用意しておこう。
●各種昆虫マット
●各種昆虫ゼリー
●各種飼育ケース
●各種アクセサリー
●クワガタ・カブト生体
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